【開催レポート】クリエイター支援基金 特別シンポジウム「Presence & Resonance: 劇場が世界とつながる未来」@YPAM 後編(ディスカッション)

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令和7年12月、横浜国際舞台芸術ミーティング(以下、YPAM)において、「クリエイター支援基金」<文化施設による高付加価値化機能強化支援事業(以下、文化施設支援)>のシンポジウムを開催しました。

本レポートでは、シンポジウム後半のディスカッションの模様をご紹介します。

[関連リンク]
【開催レポート】クリエイター支援基金 特別シンポジウム「Presence & Resonance: 劇場が世界とつながる未来」@YPAM 前編(プレゼンテーション)


シンポジウム基本情報

クリエイター支援基金  特別シンポジウム
「Presence & Resonance: 劇場が世界とつながる未来」
日時:令和7年12月10日(水) 10:00-12:00
会場:男女共同参画センター横浜南(フォーラム南太田) 大研修室

登壇:
[パネリスト]
滝口 健(世田谷パブリックシアター 劇場部長)
竹下暁子(山口情報芸術センター[YCAM] パフォーミング・アーツプロデューサー)
矢作勝義(東京芸術劇場 事業企画課長)
[ゲストスピーカー]
丸岡ひろみ(特定非営利活動法人国際舞台芸術交流センター 理事長/横浜国際舞台芸術ミーティング ディレクター)
フェイス・タン(エスプラネード・シアターズ・オン・ザ・ベイ プログラミング・ディレクター(ダンス・演劇・ビジュアルアート・国際開発担当))
[モデレーター]
横堀応彦(跡見学園女子大学 マネジメント学部 准教授/ドラマトゥルク/クリエイター支援基金アドバイザー)

★シンポジウム終了後、12:00~13:00でランチ・パーティーを開催

[主催] 独立行政法人日本芸術文化振興会
[協力] 横浜国際舞台芸術ミーティング実行委員会


シンポジウム後半では、クリエイター支援基金のアドバイザーを務める横堀応彦氏をモデレーターに迎え、前半に登壇した4名のプレゼンターに、YPAMディレクターである丸岡ひろみ氏を加えた6名によるディスカッションを行いました。

ディスカッションでは、多様な経験をもつ登壇者それぞれの視点で、「劇場が世界とつながる未来」をテーマに、劇場が海外展開を推進する意義や課題等を共有する場になりました。劇場運営の歴史や現状の制度等に触れながら、示唆に富む意見交換が交わされましたが、ここでは主だった意見を要約し、箇条書きでご紹介いたします。

◆ディスカッション映像(約55分)

音声:日本語版

音声:英語版

※通訳部分については、当日行われた同時通訳の音声を採用しています。聞こえづらい部分があることをご了承ください。

【海外展開の意義と公共劇場の在り方】

・海外に出ることは、コンフォートゾーンから出ることを意味する。慣れ親しんだ環境と違う場に身を置くことで、新たな気付きを得たり、逆に共通点を発見したりすることができる。(タン)

・公共劇場は劇場法に則った運営をしており、「新しい広場=パブリック・スフィア」として機能することが求められている。海外に出ることは最も価値観が違う人と出会う機会でもあり、その意味では公共劇場の本質的な活動であるともいえる。(滝口)

・クリエイター支援基金は複数年度にわたって支援する点が画期的ではあるが、海外との関係性を構築するには、10年・20年という長い時間と長期的な視野が必要である。指定管理者制度も含め、現状の運営体制や助成システムがあるべき姿と乖離しているところが日本の現状であり、問題点であると思う。(矢作)

【事業の評価】

・弊館の事業評価では、創作成果や達成事項の評価よりも未達成部分に議論が集中しがちである。助成制度も成果の継続的向上を前提とする構造といえないか。達成できたことの質や意義を分析・評価する視点は、公共劇場の基準においてもやや不足している可能性がある。(竹下)

【今後の展望】

・国内の公共劇場の歩みを振り返ると、芸術監督のグローバル志向は高まる傾向にあり、クリエイター支援基金は、複数年度支援ということもあいまって、海外に出ていくその動きを後押ししてくれていると感じる。同時に、国内そして世界に展開していくという動きの中で、劇場がどういう役割を果たしていくのかを考えなければならないフェーズにもきている。(丸岡)


シンポジウム終了後には、ランチ・パーティーを開催しました。

今回は、多くの皆さまのご協力により、無事に本シンポジウムを終えられましたことを、この場を借りて、あらためて御礼申し上げます。YPAMでは本シンポジウムのほか、国内外のアーティスト、芸術団体によるパフォーマンスはもちろん、本基金事業の採択団体も多数参加したプレゼンテーション等で約2週間半の開催期間中大変賑わい、多くの方の活動が充実する機会となっていたのではないかと思います。 本レポート等も活用いただき、劇場運営はもちろん、文化芸術活動が推進されることを願っています。

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